水師営の別館

プロ野球・時事評論・就活・身の回りを中心にあれこれ述べるTwitterのスピンオフ的ブログ

清純とけがれのない「設定」という建前

衝撃的な結婚宣言

AKBファンでなくとも順位が、少なくとも1位は気になる毎年恒例の「総選挙」は先週の土曜日に沖縄で開催され指原さんの3連覇で終えました。最後の「総選挙」出馬を圧倒的な票数で終えられたことに、本来なら注目が集まったことでしょうが翌日のスポーツ紙を見れば分かる通り、全く別の話題で世間の注目を集めることになりました。


新聞一面を、ネットを騒がせたのは指原さんでも渡辺さんでもなく、NMB所属の二十歳の少女でした。正直、私は彼女のことをこのニュースを知るまで知りませんでした。とはいえ高順位に位置することからグループ内では主要メンバーなのかなと感じました。場を和ませる冗談でも、奇人変人キャラでもなく、ガチだと言った瞬間、突然のことに言葉が出なくなった方もいると思います。

オタクも本当は分かってる

その後、一部メンバーや多くのファンの非難や失望の声をあげ、週刊誌は把握済だったという状況になっています。多くの非難は正論であり、当然な意見だと思うし、彼女は記者会見を行い、契約打ち切りは必至だと思います。しかし美しさやかわいさを売りにする10~20代の女性に彼氏も、片想いの人すらいないというのは「幻想」だということに改めて気づかされたオタクも多いことでしょう。


もちろん多忙なアイドルが色恋に執心する余裕はないのかもしれません。全員が全員彼氏持ちとは言いませんが、私も含め、多くのファンは「どうせ誰かはいるはず」と内心感じてるはずです。しかし「設定」としてオタクは「一点の曇りもない清純さ」を要求し、アイドルに「その期待に応じ誠意を示す」ことを暗黙の「了解」いや「信念」と見なしているのが実際のところではないでしょうか?


アイドルに限った話ではない「設定」

あくまでも「設定」という建前な以上、ここでは本音ないしは現実の真相は問われません。彼氏を作らずアイドルという仕事に専念するアイドルも、イケメンでリア充な彼氏がいてもそれを隠せ通せたなら、建前の前ではどちらも「立派なアイドル」に違いありません。ここでは道徳の優劣を人間は問えず、ただ後者には職業へのリスクを取るか取らないかという自分への「責任」しかありません。


しかし「清純でけがれのなさ」は何もアイドルのみに求められる要素ではありません。実は自然と同年代の我々もまたその「設定」の中に生きているのでは?と感じます。その典型例がよくブログで言及する「就活」でしょう。「真っ黒なリクルートスーツ」は純朴さを演じる「制服」であり、「ES」は清純さを演じる「メディア」であり、「面接」は擬似的な好感を演じる「握手会」です。もちろん「リクルーター面談」という「スペイベ」もあります。


どの世界でも清純とけがれのなさを求める傾向はあるはずです。私はこの騒動を見て、実は他人事じゃないと感じてしまいました。本当はお金のために働くし、こんな真面目じゃないなんて学生も企業も分かっているはずです。「設定」の中で熱狂し、喝采する構図は一緒ですが、オタクはアイドルになれなくとも、学生は社会人になれる点でこの「設定」へのタブー感は根深いです。


何事も程々にということ

その分野ごとに存在する「清純とけがれのなさ」という「設定」を知った上で楽しむ、ないしは身を置いたならば理想だと思います。悪いのは「設定」を教義的に捉え、それに追い回されて自分が趣味(や例に挙げた就活)に疲れることです。設定は建前と読み替えていいものですが、決して教義ではなく不文的な慣習や作法です。建前ばかりに生きて辛いと思ったら早めに建前から抜けるべきです。


なぜなら建前に固執し続けると、剥き出しの本音に振り切れ、それが建前への攻撃へと転じてしまうからです。一度納得あるいは信じていた建前すら攻撃し、過度な本音の露出は結果として混沌と破滅を招くことでしょう。現実でも疲れ、非現実な趣味や関心事にも疲れるということにはならぬよう、いいさじ加減を知ることが騒動の示す教訓なのかもしれません。