水師営の別館

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【陣風賦】H30.6.24

昨年度の国の税収が予想を上回り58兆円台後半になるという。税収三本柱となる所得税、消費税、法人税のいずれも2016年度を上回る予想だ。リーマンショック後30兆円台後半の税収に落ち込んだことを思うと、少しずつではあるが景気は改善へと向かっているのだろう。


▼しかし個人消費が好転したという話はいまだに聞かないし、所得の伸びも今一つである。失われた20年いや、30年になりそうな平成を覆ったデフレからはなお脱却できていない。物価の上昇は停滞しており、値上げよりも量を減らすばかりの食品の数々を見るとそれは明らかだ。


▼なお課題である景気指標を好転させるためには、個人の懐を刺激するしかないだろう。そのための景気対策や税制改革に励むことが政治の務めであろうが、いい数字ばかりを見て増税への道を着実に歩み始めているのが現実である。


▼将来不安解消のために増税という本末転倒な政策を唱え、現在の脆弱な生活基盤をさらに傷つける政府の財政政策は、4年前の消費税増税や90年代の消費税増税の後に我々が目にした経済状況を繰り返すだけであろう。


▼ただでさえ社会保険料増で賃上げが相殺されているのに、また増税と思う人は多いはずだ。増税を語らないことをポピュリズムと揶揄する見方もあるが、このような主張に負けず増税の弊害を訴え、金融・財政政策の利点を掲げ続ける方が茨の道であるように思えてならない。


▼観光政策やカジノで得られる経済効果はたかが知れている。それらをすべきでないとは言わないが、優先順位としては国民の経済活動をもっと回すことではないか。そのための減税や給付金、生活を支えるインフラや教育への投資などのメニューが見えてこない。このまま「失われた○○年」を続けるのか、決別するのかその岐路に我らは立っているのだ。