水師営の別館

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【陣風賦】R1.9.9「呆れたHulu商法」

最終回、白熱の展開が無慈悲にも途中で見られない番組がある。地上波プロ野球中継のことだ。始まりも終わりも分からぬこの番組が人気を失うのも自然なことで視聴率は振るわず、中継数も減少し、尻切れとんぼの構成はさらなる視聴率の低下という悪循環を招いている。「続きはBS、CS、ネットで」という構図が定着してしまったが、新たにドラマもその仲間入りをするのであろうか?


日本テレビ系列の日曜ドラマ「あなたの番です」の最終回に消化不良を感じた視聴者は多いはずだが、物語の核心たる殺人鬼の殺人鬼たる所以は動画配信サイトHuluで公開となった。プロローグはネット、そして続編を匂わす展開だった。


▼野球中継と同一視するのは牽強付会かもしれないが、始まりと終わりが分からず、地上波だけで完結しないその構造はよく似ているような気がする。そしてこのやり方はドラマに限らず、地上波の放送全体を埋没させないか懸念している。


▼野球中継が辿るこの図式がドラマやバラエティーにまで一般化するとコアな視聴者はネットに移行するも、ライトなファンは「見ても意味がない」と初期段階から諦めいなくなってしまう。入口の人口が減ることは市場の縮小を意味する。


▼市場の縮小は真っ先にお金のかけ方に直結する。演者、脚本、考証などの点で要するにケチ臭くなる。上記ドラマが示した手法を「Hulu商法」と揶揄するなら今後地上波ドラマに予想されるのはこのフェーズである。誰がこれを望もうか。


▼地上波放送あっての総合的メディアの活用から、動画サイトへ誘導するための「チラ見せ」としての地上波放送は公共電波の利用としても疑わしい。国民共有の財産である電波を自社傘下の宣伝ツールに使われては私利私欲による独占だ。


▼ネットの下請けになればテレビが果たしてきた役割と地位は失われ、まさに自殺的行為だ。一ドラマを見て感じたテレビっ子の憂慮は杞憂に終わってほしいがHulu商法の加速には懲り懲りである。