水師営の別館

Twitterで呟ききれなかったことや最近気になったことを書くブログです。

【陣風賦】R2.1.12「台湾総統選」

11日開票の台湾総統選で現職の蔡英文氏が勝利を収めた。総統選での過去最多得票を記録しての再選である。昨年春から継続して行われている香港民主化デモの影響があったことは言うまでもない。


▼蔡氏は香港に適応される一国二制度を明確に拒絶した。高度な自治を認めるとの言葉とは裏腹に実態は北京によって牛耳られている香港の姿を見れば当然の反応である。「今日の香港は明日の台湾」という言葉が示すように、民主主義への危機感が強く意識された選挙であったように思われる。


▼強い危機意識は特に若い世代に多かったという。世界中に散らばる台湾青年たちも選挙となれば帰国するという熱心さだ。たかが一票と思わず、祖国の命運を決める大事な一票と思う実直さは学ぶところが多い。


▼我々が期待を失いかけている民主主義や選挙だが、皆が関与してこそ機能するものである。主張する、議論する、代表を送り出す、これらが難しくとも一票を投じることは誰でもできるはずだ。彼らの志をしっかり見習いたい。


▼日本としても今回の勝利は歓迎したい結果である。蔡氏はこれまでも日本との関係強化を願う発言を繰り返してきた。経済や文化など多方面での交流深化が期待できそうである。


▼ただ勝利の余韻も覚めぬうちに現れるのは難題山積の両岸関係だ。今後さらに中国から政治的、経済的圧力が強まることは間違いない。圧力に屈したら一時の経済的利益は得られるだろうが、それよりも政治的自由を選んだというところに勝利の価値があるのではないだろうか。