衆議院総選挙を前に「外交・安全保障政策」
国にしかできないことがある
地方創生、地方分権という言葉があり、国から地方への権限移譲が行われたり、地方の自主性に委ねるケースが多くなっています。しかし国には国にしかできないことがいくつかあり、その中でも最も重要な政策の一つが外交・安全保障政策です。他国と取り決めや交渉を行ったり、国の主権や国民の生命や財産を守ったりすることについて問われる分野です。今回の総選挙で私の重要テーマの一つにある外交・安全保障政策について私なりの意見や願いを書いていきます。
北朝鮮の傍若無人な振る舞いに各国と連携せよ
北朝鮮の核開発やミサイル発射は地域の脅威です。国連安保理決議に違反した昨今のミサイル発射は着実に技術を進化させていることの表れであり、日本を取り巻く環境がますます厳しくなっていることを示します。日米韓の3国が圧力をかけることはもちろん重要です。その一方で北朝鮮の背後には中露がそびえ国際社会の中での統一した制裁になかなか踏み出せないのが現状です。
しかし北朝鮮の軍事力増強を黙視することはできないため、日米韓の3国が連携することが求められるでしょう。また日本には拉致問題があり、この問題の解決も急務です。北朝鮮に圧力をかけると同時にトップ同士の首脳会談を行うことも念頭に入れて議論の場に持っていくことを期待します。外交的に道を切り開くことは困難がつきまとうでしょうが、対話と圧力を上手く機能させて核、ミサイルの脅威を除去させたいものです。
中国の脅威は現実のものに南西諸島の防備強化を
中国の東・南シナ海での領土拡張的な海洋進出行為と尖閣における領海侵犯、台湾に対する示威行為と東アジアの不安定化の元凶です。中国の一連の行動は我が国の海洋権益やシーレーンの安定的な利用にとって脅威であり、日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念を示すところであります。この認識は与野党共通のものであると思ってますし、これを前提に安全保障の議論を行うことを期待します。
まず第一に行うべきは南西諸島から台湾に至る第1列島線の防衛力を日米で高めていくことです。現在行われている南西諸島での自衛隊配備を着実に進め、ミサイル防衛を強化すべきです。当然ながら防衛費の増加は欠かせず、GDP1%の枠にこだわる必要はないでしょう。敵基地攻撃能力は戦術としての効果と抑止の現実性を争点にして真摯な議論を求めたいです。安全保障上の最大の脅威がかつてのロシアから中国へと移った現在、現実的な防衛政策の議論を次の国会でなされることを願っています。
自由で開かれたインド太平洋を推進せよ
地域の不安定要素に対応する政策として打ち出されているのが自由で開かれたインド太平洋構想です。安倍元首相によって提唱されたこの概念では①法の支配、航行の自由、自由貿易等の普及・定着、②経済的繁栄の追求、③平和と安定の確保が掲げられています。この普遍的な価値観を共有する国と連携を深め、地域にルールに基づく国際秩序を構築し、この地域の安定と繁栄を促進しようという構想を深化させたいです。
そこで主役となるのが日米同盟です。日米安全保障条約を締結してから60年以上経過しますが、地域の平和と安定に貢献した「公共財」としての価値が認められています。東アジアの安全保障に寄与した二国が、今後インド太平洋という壮大なスケールで描かれた世界に指導的役割が求められることは必然的だと思います。外交、防衛の両面から基本的価値観を有する国々との関係強化を継続して行ってもらいたいです。