水師営の別館

Twitterで呟ききれなかったことや最近気になったことを書くブログです。

20代からの早期リタイア生活「年金機構の炎上から思うこと」

年金機構の「炎上」

企業アカウントの難しさというよりもセンスのなさを露呈した「ガチヤバイ!?リアルガチでヤバイかも!?」から始まる日本年金機構のツイートは一日で削除されてしまいました。しかし消せば増えるのネットの世界、いまだに鎮火には成功していない模様です。


ねんきんネットで自分の年金記録が確認できることをアピールしたかったのでしょうが、重い社会保険料を負担しながらも将来の受給を不安に感じる若者相手にこの表現はあまりにも他人事すぎます。そもそも年金記録が消えたかどうかというより、現在の受給想定額や受給開始年齢が消えるかどうかという不安が大きい世代に対してこの広告は煽ってますし、リサーチ不足だと思いました。


「報われない感」は年金だけじゃない

我々世代にとっても年金とは「これだけ毎月払っているのに貰える額は少ないんだろうな」「65歳からではなく70歳から貰うことになるんだろうな」と負担だけ大きく、損をするのではないかという見方があります。しかしこの負担だけ大きく損をするという「報われない感」は年金に限らず様々な点で若者に無力感や諦めを与えているのではないでしょうか。


給与は最たる例でしょう。過去数十年間初任給はほぼ変わらない一方で社会保険料は上がるばかりです。消費税も上がりましたし、今秋には再び消費税増税が予定されています。もちろん年功序列の賃金体系で少なかった給与分を中年期に取り戻せばいいのでしょうが、実力主義の名の下、若手や中堅世代の賃金カーブを下げる企業は増えています。


自分の会社は「実力主義」ではないと思う人も他人事ではありません。若いうちは年功序列制度を支えるために安く働かされても、自分たちが年を取ったときにその恩恵に預かれる確実性を証明できるものが今の日本経済にはないからです。いきなり別の賃金体系を用意され、給与が前の世代に比べて伸びないまま40~50代を過ごすリスクがあることを認識した方がいいでしょう。


斜陽の国で働くという憂き目

給与は増えない、税金や社会保険料は増える、今の負担や苦労は報われないという事実や感覚が日増しに強くなっていることは残念なことです。しかしそれを食い止めよう、改善しようという政策の気配すらなくむしろ負担が増えたり、国民をしばきあげたりする方向にもっていこうとすらあります。(自分で自分の国を追い込んでいるとは分からずに突き進むその姿勢は私には到底理解できませんが…)


報われないという感覚の中、毎日を働いたり、税金を納めたりするということは大変苦痛なことです。かといってそうした憂き目が中高年世代に広く理解されるわけもなく「なぜお金を使わないのだ」や「そんなに貯めてどうするの」と的外れなアドバイスを聞かされるだけでしょう。

損する枠組みといつまでもいられない

個人でできることはした方がいいでしょうが、国家としてなすべきことを構想したり、提議したりすることが忘れ去られた社会はますます個人が生きづらくなる社会になると思います。この酷な環境に対して自分でできることとして早期リタイアを目指してはいますが、いかに誰かに損失や報われなさが集中しないような枠組みを築いていくかが求められます。


今のままだとますます経済情勢は悪化し平成を覆ったデフレから脱却できないまま新しい時代を過ごすのではないかと思います。報われない社会の枠組みから抜け出し、安らぎのなかで生きたいと願う人が増えそうな気もします。お金よりお休みがほしいと願う若者の多さはその一つかもしれませんね。