水師営の別館

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スケジュールの都合とは

横浜での楽曲披露

三連休最終日の18日にテレ朝系列で放送されたMステの10時間スペシャルに乃木坂46が出演した。この音楽番組に起用されたことは人気歌手の仲間入りを果たしていることの証左であり、今を輝くアイドル集団であることはファンという贔屓目を除いてもそう言えよう。放送同日に横浜で「個別握手会」が行われていたために、彼女らは横浜から17thシングル表題曲「インフルエンサー」を披露した。


表題曲の披露であるため、原則、その曲の「選抜メンバー」が歌うのだが一部ファンからは苦笑、失笑が示された。「スケジュールの都合」として一部メンバーの握手会欠席が告知されていたにも関わらず、握手会開催地である横浜に登場していたからである。これには「スケジュールが合わないのになぜ横浜に?」や「スケジュールの都合という表現は便利だね」という旨の皮肉が見られた。


オタクと会いたくないから?

「素直な」ファンはこの事態に対し「忙しい合間を縫って来てくれたんだ!」と肯定的に解釈したが、それでもなお「オタクと握手がしたくないんだろ」と厳しい感想を残す者もいたことは事実だ。もちろん欠席した一部メンバーの心境は分からない。スケジュールの都合がどういう意味合いなのかも分からないが、不信感を一部のファンに与えてしまったことは否定できない。


私自身、握手会に行ったことはないが、握手する側も、される側も双方に負担の多い行事かと推察することはできる。特に握手する側は見知らぬ、大人数を相手に、機転を効かせながら、時に嫌なファンにも対応しながら、長時間、握手することへの苦労は忍ばれる。売れっ子になってもなお、こうした握手をすることへの不平不満を述べ、運営が「忖度」を働かせても不思議ではないだろう。


運営なりの働き方改革

しかし仮にも普段から応援してもらっているファンを切り捨てる言動を放てば自身のアイドル生命が終了することは間違いない。そのため「握手不参加要求説」とでも言うべき説は安易な考えかもしれない。ではもう一つ考えられる「過労抑止説」はどうだろうか。つまりモデル業や女優業そして歌番組、バラエティ番組や雑誌など多忙を極める中で一日中行われる握手会は免除しようということだ。


前述したように握手会は過酷な労働だ。従って心身への配慮が求められることには理解が得られるであろう。しかしそうであるならば「スケジュールの都合」とい言葉は不適切な表現であろう。矛盾だらけな状態を清濁合わせてのみ込むことが多い「アイドルオタク」とはいえ、その受容が無尽蔵なものではないはずだ。当然運営側も認識しているだろう。


原点は握手会を軸とした商売

握手会に行かない私からすると「労働時間調整のため」と告知してくれた方が正直な運営だと思う。しかし大多数を占める握手会を熱望するファンからすると納得できる表現ではないなとも思う。「そんなに外仕事優先ならアイドルは卒業したらどうなんだ」とか「腰掛けでアイドルしてるんだ」と批判される可能性は十分にあり得る。なぜなら原点は「握手会をする」アイドルだからだ。


握手会を軸にして人気を得る様式はコンセプトや理想像の違いはあれども他のアイドルグループと一緒だ。それは非アイドルファンの声を聞くとよく分かる。外仕事が知名度向上に資することはよく分かるが、握手会の否定は信頼感を損ねかねない。「スケジュールの都合」という「都合のいい言葉」が「不都合な真実」を伝えやしないかと考えを巡らせたのは私だけだろうか。