水師営の別館

Twitterで呟ききれなかったことや最近気になったことを書くブログです。

学歴フィルターという酷な現実

定期的にネットで話題になる話

先日、ある女学生のツイートがTwitterで話題になった。自身が所属する大学名で登録したアカウントで説明会に申し込もうとすると「満席」だったが、難関大の名前に変えて申し込むと「空席」だったという内容だ。毎年この時期になると出てくる話題であるが、あまりにも酷な現実を突きつけられる気の毒な問題である。


そして学歴フィルターをめぐり賛否両論分かれるのもお約束のことであり、知らず知らずにこの話題は薄れてゆくのだ。事の真偽や賛否を論じていては堂々巡りになってしまうため、今回はなぜこのような「区別」が生じてしまうのか、そして排除される側の学生たちの「対策」について考えたい。


学歴という無難な基準

就活サイトが登場して以来、学生がエントリーする障壁が著しく下がったという。パソコンなき時代は一社ずつはがきを書いて資料請求をしていたが、今はもうスマホで簡単に応募できる時代だ。学生と企業の距離が縮まった分、志願者も増加した。雑多な志願者を足切りしようとした結果があの満席だろう。候補が多すぎることの弊害を考慮しての無難な選別だろう。


エントリーシートでも学歴フィルターはある。似たり寄ったりな文章の中で目立ってしまうのはやはり学歴になってしまう。もちろん学歴ではなく、一生懸命書き上げた文章からキラリと光る逸材だっているかもしれない。しかしいちいち探し出す精神的、時間的余裕がないと人事は言うだろう。例えるなら珍味に手を出すより、安心の枝豆や冷奴がいいという感じだろうか。


諦めも肝心、でも諦めすぎは禁物

学歴フィルターが強くかかる大学の学生は一定の「諦め」を前提とした就活をするのは仕方ないことだろう。つまりあの大企業、あのCMの企業は無理だと思い、就職の軸を定めるということだ。ただこの諦めというフィルターを厳しくかけてしまうと選択肢を著しく狭めてしまう。よく探すと好待遇の企業や無名の安定企業だってあるものだ。


面接練習や自己分析に血眼になっても時間の浪費だ。しかし企業の待遇や福利厚生、離職率、業界の展望などを調べ尽くすことは、うっかりブラック企業や処遇の悪い業界への就職のリスクを減らすから努力してほしい。諦めの気持ちも大事だが、だからといって情報収集する気力さえ失わないでほしい。弱った学生を甘い囁きで呼び込むのが悪徳企業の常套手段だ。


ネットには「Fランでも大企業に!」という煽った話もあるが、確率の低い成功談にすがるより、情報の収集と比較に励んだ方がはるかにマシだ。そもそも大企業は難関大、準難関大でもハードルが高い。名を捨て実を取る努力すら諦め「Fランだから」と自嘲することが最も危険である。自嘲して勉強にもサークルにもバイトにも匙を投げるのが一番最悪だ。


リクナビを見ていると…

離職率の高い業界、低所得になりやすい業界のページを見ると、残念ながら聞いたことのない大学の名前ばかり採用実績にあり、先輩紹介もまた無名大学が羅列してある。やはりそういう傾向にあることは事実だが「私もそうなる」とすぐ絶望せず、回避の道を探ってほしい。公務員試験という道もある。今は試験の倍率も低い好機の時期だ。


休日が100日程度の企業もたまに見かける。固定残業代ありきの給与体系の企業もそこそこある。有給取得率が半分もない企業もある。あの難関大と同じ土俵に立って勝負したら、こんな企業しか残ってなかったでは意味がない。体力もいつかは落ちるし、中高年になって所得が伸びないのは精神的にもこたえるに違いない。転職も今後の景気や学歴を思うとリスクもある。


だからこそ学歴フィルターを感じる人は程よい諦めと執念の情報収集に励んで長く働ける職場を見つけてほしい。一方でそれを感じず、実力でどうにでもなる人は選択肢の多さに幸運を感じて頑張ってほしい。もちろん何を重視するかは千差万別だろうが、心身の健康を損ねない仕事かどうかは絶対に考えておこう。特に心を病めば再起動するにも一苦労だからだ。