水師営の別館

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DAZNプロ野球中継参入と放映権

DAZNプロ野球11球団を配信へ

スポーツ動画配信サービスを提供するDAZNは、2018年シーズンよりプロ野球11球団の試合を配信することを決定した。昨季までのDeNAと広島の2球団から11球団に拡充するため、この決定は大ニュースである。なお私のひいきチームである巨人がその残り1球団であり、巨人主催試合を見るにはBS日テレもしくは日テレG+で見るか、専門のネット配信サイトとの契約が必要だ。


巨人の相も変わらず強気な姿勢には否定的な声もあるだろう。しかし(巨人主催試合についても現在DAZNは交渉中とのことであり)今回はプロ野球中継を取り巻く放映権の厳しい現状を踏まえ、ネット時代の野球中継について考えていきたい。


地上波巨人戦という「平和な時代」

10年以上前からの巨人ファンの方なら強く共感できると思うが、当時はほぼ毎日、巨人戦が地上波で中継されていた。録画機器がまだあの頃はビデオデッキだったため、野球中継の終わりが何時か把握できていないとその後のドラマが正しく録画できないという悲しい経験をされた方も多いだろう。視聴率は毎晩最低でも10%を越える優良コンテンツの一つだった。


そのため巨人戦1試合につき1億円という今となれば法外な値段で各球団が放映権を売っても、テレビ局は購入したため、セリーグ5球団の安定的財源となっていた。球団と局の持ちつ持たれつの関係が成立する「平和な時代」が続いていたのであった。しかし巨人の絶対的、相対的人気の低下、それに伴う巨人戦の視聴率低下と中継数減少という時代の変化は、巨人におんぶにだっこの商売の終焉を意味した。


放映権で稼げなくなった各球団は魅力ある球場やグッズ作りに尽力し、観客収入を増やした。また球場そのものを所有や管理することで、看板広告や売店収入を得るなど、巨人戦の地上波中継がないことを前提にした体質に生まれ変わることに成功したのである。さらに(交流戦があるとはいえ)対巨人戦の少ないパリーグはBSやCS放送に積極的であったし、一部の球団は地上波ローカル放送に軸足を置いたことでコアなファンを拡大した。


ネット配信は野球人気回復のカギか?

こうした現状から二度と巨人戦の地上波中継は復活しないだろうし、他の球団もアテにしていないことは理解できるだろう。そして今般の巨人を除く11球団の配信決定である。この配信決定の何が画期的であるかというと全てではないとは言え、一つのネットサービスでほとんどの試合を観戦することが可能かつ家以外でも楽しむことができるからだ。


これまでは個別に、配信サイトを切り替え、料金を支払って観戦する必要があった。それが同じサイト内で、一括料金で野球を楽しめるのは大いなる進歩である。またひいきチームのみならず全ての試合を同時に楽しもうと思うとネットでは限界があった。そのために月々約4000円を支払い、CS放送に加入せざるを得なかったが、これが半値以下になるのだからありがたい話だ。


わざわざ家に帰って見る必要もなくなり、帰宅途中や外出時でもリアルタイムに一投一打を確認できるのも大きな強みである。そしてCS放送は野球が好きという前提がなければ契約しないものだろう。しかしDAZNは多種多様なスポーツを配信していることから、スポーツ好きという括りで入口を下げ、ネットに慣れ親しんだ若い世代を引き付けるには十分な条件である。


プロ野球との新しい出会いの場に

まるでDAZNの回し者かのようにメリットをあげてしまった。もちろん回線が安定するかどうかは地域や居住環境によって変わるだろうし、テレビに比べれば画質も劣るなどデメリットも存在する。しかしほぼ全ての試合をネット配信できることになった革新性は特筆すべき点であることには変わりない。


このネット配信により、サッカーやバスケ好きの人がなんとなくプロ野球中継に切り替えたことで野球も好きになってくれる可能性もあれば、完全に棲み分けられて相互に影響しないままに終わるかもしれない。低下する野球人気への危機感を好転させるか、ますます落ち込ませるかの大きな別れ道に直面する中、球界の放映権的に結束した動きは歓迎できるものだ。


いかに野球との出会いの入口を低くしていくかが勝負だ。「見てて面白いよね」と思ってくれる支持者を伸ばさないといけない。11球団との個別契約の積み重ねで今回の配信が可能になったため、将来にわたって永続する保証はない。しかしテレビ中継という文化がほぼ絶滅した現在、テレビに代わるツールとしてネットを最大限に活用していくことが求められる。過去の貯金でいつまでも食ってはいられないのだ。